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□Author 安田慶次 |
アリモドキゾウムシ雄成虫は雌の放出する性フェロモンに強く誘引されることが知られている。そこで,合成性フェロモンを用いた防除技術の1つとして,フェロモントラップを改良し,成虫の天敵微生物である白きょう菌Beauveria bassianaを感染させる装置を作製した。サツマイモ畑にこの感染装置(菌量9.4×10^10分生子)を置き,感染効果の有無を判定した。1)畑内の生存虫と菌による感染死亡虫を数えたところ,処理区の感染死亡率は雄で処理後21日目に最高の96.2%(無処理区0%)に達し,雌でも35日後には24.0%(無処理区0%)になった。2)処理区内の生存虫の感染率は雌雄とも処理14日後に最高になり,採集雄で57.9%(無処理9.0%),同雌で31.6%(無処理4.9%)で,実験期間を通じて感染率は高かった。3)処理区の雌比は72.0〜97.6%(無処理区23.1〜64.3%)であった。この装置の利点として,1)誘引した雄成虫を自動的に多量の胞子を成虫に付着させ菌に感染させることができる。2)性フェロモンを利用することによりアリモドキゾウムシのみを誘引し,菌に感染させることができる。3)装置に用いる菌は容易に大量発生できる。4)従来の全面散布に比較して安価である。5)再放飼された成虫が成虫の好む生息場所に移動することにより菌をさらに分散させる等が挙げられる。 |